梅雨の時期に役所から国保(国民健康保険)の保険料を知らされ、頭を悩ませている方も多いかと思います。
そして保険料の高さに納得がいかず、なぜ高いのかを知りたい方もいるのではないでしょうか。
国保の保険料が高いのは、前年の所得額だけでなく国保の特徴も大きく関係しています。
その一方で高い保険料を何とかするための対策もあるため、一緒に見ていきましょう。
本記事では国保の保険料がなぜ高いのかを徹底解説していきます。
国保(国民健康保険)とは?

「国保」こと国民健康保険のワードを聞いたことがあっても、具体的にどんなものなのかわからない方もいるのではないでしょうか。
ここではまず、国民健康保険がどのようなものなのかを簡単に解説します。
フリーランス・自営業者や無職の人などが入る公的健康保険
国民健康保険(国保)は、都道府県や市区町村が運営する公的健康保険です。
国民健康保険には、75歳未満で勤務先の健康保険に加入していなったり生活保護を受給していなかったりするすべての人が加入します。
具体的な対象者は以下のとおりです。
- フリーランス・自営業者
- 企業などの退職者(協会けんぽなどの任意加入者は除く)
- 働いていない方
- 農業や漁業、建設業などに従事する一人親方
- パートやアルバイトで勤務先の健康保険に未加入、または親などの扶養に入っていない方
また国民健康保険では、次のような保障を受けられます。
- 医療費の自己負担割合が1~3割になる(割合は年齢や所得による)
- 出産育児一時金:妊娠4ヶ月以上で出産した場合に子ども1人につき原則50万円支給
- 高額療養費制度:1ヶ月の自己負担上限額を超えた場合に差額を支給
- 葬祭費:死亡時に5万円を支給
さらに国民健康保険の保険料は、毎年複数回に分けて納付書や口座振替などで支払うルールです。
一般的な普通徴収であれば、6月または7月から翌年3月~4月まで9回から10回に分けて納付します。
近年では納付書に印刷されたQRコードやeL番号をスマホで読み込んだ後、地方税支払いサイト上で決済もできます。
会社や役所の健康保険との違いは?
国民健康保険が、会社や役所の健康保険とどう違うのかが気になる方もいるかと思います。
国民健康保険と会社などの健康保険の違いをまとめると、次の通りです。
| 会社や役所の健康保険 | 国民健康保険 | |
|---|---|---|
| 運営主体 | 中小企業:協会けんぽ 大企業:健康保険組合 役所:共済組合 | 市区町村 |
| 加入対象者 | 公務員や企業の正社員、一定の条件を満たすパート・アルバイト | フリーランス・自営業者や働いていない方など |
| 保障内容 (太字は会社の健康保険のみで保障される内容) | ・医療費の自己負担割合軽減 ・高額療養費制度 ・出産育児一時金 ・出産手当金 ・傷病手当金 ・埋葬料:加入者の死亡時に5万円支給 | ・医療費の自己負担割合軽減 ・高額療養費制度 ・出産育児一時金 ・葬祭費 |
| 扶養の有無 | 〇 | × |
| 保険料の負担割合 | 加入者と勤務先で折半(割合は企業による) | 加入者が全額負担 |
| 保険料の納付方法 | 毎月の給料から天引き | 年複数回に分けて自身で納付 |
このように会社や役所の健康保険と国民健康保険とでは、加入対象者や保障内容、保険料の納付方法に至るまで様々な違いがあります。
国保はなぜ高いのかの3つの理由

夏前に役所から国保(国民健康保険)の保険料の通知書が届き、金額の高さに驚く方も多いのではないでしょうか。
中にはあまりの金額の高さに納得できずに、高い理由が気になってたまらない方もいるかもしれません。
「国民健康保険の保険料が高い」と言われやすいのは、次の3つが主な理由です。
保険料を全額自分で負担するため
まず、保険料を全額で負担する点が挙げられます。
国民健康保険は会社員や公務員向けの健康保険と異なり、加入している人が保険料を全額支払う仕組みです。
会社員や公務員向けの健康保険の場合、毎月支払う保険料は加入する人と勤務先が折半します。
このため、国民健康保険に加入する人は会社員に比べて、毎回の保険料負担が高くなる構造です。
40歳以降は介護保険料も追加される
なお、国民健康保険では会社員など向けの健康保険と同じく、40歳の誕生月以降に介護保険料も追加で支払います。
介護保険とは、生活で介護が必要な方を支えるためのサービスです。
介護保険の保険料も、国民健康保険では加入者が全額支払うのに対し、会社員などは勤務先と折半して納めます。
同じ介護保険料の支払いでも、国民健康保険加入者では負担する割合が会社員よりも高いため、40歳以降はなおさら負担を重く感じる傾向です。
2026年度以降は子ども・子育て支援金制度による負担も
さらに2026年度以降は、子ども・子育て支援金制度による負担も加わっています。
子ども・子育て支援金制度とは、政府が子育て政策の財源を賄うために設けた制度です。
なおこの制度は、子育て世帯は給付金の形で恩恵を受けられる一方で、独身世帯のように子どもがいない世帯は直接給付を受けられないため、「独身税」の俗称もあります。
そして子ども・子育て支援金制度の財源として、毎月の健康保険料に支援金が追加される決まりです。
なおこの財源分は、国民健康保険料の中では「子ども・子育て支援分」として計上されます。
国民健康保険の場合の2026年度の支援金は、加入者1世帯につき毎月平均300円程度が加算されます。
特に40代の国民健康保険加入者にとっては、もともとの国民健康保険料と介護保険料に加算されるため、より負担が増える仕組みです。
前年の所得に応じて保険料が計算されるため
国民健康保険の保険料を高く感じる理由には、「前年の所得に応じて保険料を計算する」仕組みも関係しています。
国民健康保険の保険料は、次の4つを合計して算出します。
- 医療分:医療費の財源に充てるための分
- 支援分:後期高齢者医療制度の支援金の元手になる分
- 介護分(40~64歳が対象):介護保険の運用の財源になる分
- 子ども・子育て支援分(2026年度分から追加):子ども・子育て支援金の財源に充てる分
さらにこの4種類の部分は、全ての自治体でそれぞれ所得割と均等割から構成されています。
しかも自治体によっては、所得割と均等割のほかに平等割や資産割も課せられる仕組みです。
特に所得割は、前年の総所得から基礎控除額を差し引いた後、自治体が決めた所得割率をかけて算出します。
このため、前年の所得額が多いほど、均等割などを合計した後に保険料が高くなります。
なお、私も2022年から2023年にかけて所得が激減した結果、前年(2022年)の所得の影響で国民健康保険料の支払いに苦労したことがあります。
ちなみに住民税も前年の所得の影響で高く感じる場合も多いです。
住民税が高い理由については、以下の記事もご参照ください。

扶養制度がないため
さらに「扶養制度がない」ことも国民健康保険の保険料を高く感じる要因です。
国民健康保険では加入者が養っている家族がいた場合でも、その家族にも1人ずつ保険料が発生する仕組みです。
このため、家族が多い世帯では人数分の保険料が膨らむため、毎月の支払い負担が膨らみます。
一方会社員などが加入する健康保険の場合、加入者の月収に応じて保険料が決まります。
同時に加入者本人だけでなく扶養親族にも保障が及ぶため、毎月天引きされる保険料は加入者1人分で済む仕組みです。
このような差があるため、国民健康保険の保険料を割高に感じる方も少なくありません。
国民健康保険料が高すぎて払えない場合の2つの対策

「国保(国民健康保険)の保険料が高すぎて支払えない」「支払えなかったら財産差し押さえになるのでは」といった、国保の保険料の支払いに対する不安を抱えている方もいるでしょう。
もし国民健康保険の保険料を支払えない場合、次の方法での対策がおすすめです。
役所に相談してみる
国民健康保険の保険料を支払えない場合は、まず役所の税務課や国民健康保険課など担当窓口に相談しましょう。
支払う意思を示せば、収入などの状況に応じて支払いを猶予してもらえたり、分割払いに切り替えてもらえたりする場合があります。
なお、相談の際には確定申告書類や預金通帳など、収入や支出がわかる書類を持参すると、話し合いもスムーズです。
家族の勤務先の健康保険で扶養に入る
また「家族の勤務先の健康保険で扶養親族になる」方法もあります。
家族が会社員などとして働いていて、勤務先の健康保険に加入している場合、一定の条件を満たせば扶養を受けることが可能です。
この場合、健康保険だけでなく公的年金の保険料や所得税・住民税で負担が発生しない点が最大のメリットです。
扶養家族になる条件には、年収が基本的に130万円未満だったり、扶養として入る健康保険の加入者が3親等以内だったりする点などが挙げられます。
国保の保険料を安くする4つの方法

「国保(国民健康保険)の保険料を毎年極力安く抑えたい」という方も多いでしょう。
実は国民健康保険の保険料を安く抑えられる方法はいくつかあります。
主に以下の4つをご紹介しましょう。
自治体の減免制度を活用する
まず「自治体の減免制度の活用」する方法があります。
減免制度は、収入の激減や災害などやむを得ない場合に、保険料の一部または全額の支払いを免除してもらえる制度です。
減免制度の利用には、市区町村で国民健康保険を担当する窓口に相談します。
身分証や収入証明書類が必要となるため、忘れずに持参しましょう。
確定申告で極力経費を計上する
また「確定申告で極力経費を計上する」方法もあります。
国民健康保険の保険料は前年の所得をもとに計算されるためです。
同時に所得は年収から、業務費用である経費や各種控除額を差し引いて算出します。
つまり、経費に計上する金額が増えるほど所得が減るため、保険料も減らせる仕組みです。
経費は会議費(例:仕事で使ったカフェの飲み物代)や、消耗品代(例:名刺代や会計ソフトの利用料金)などを極力記録を残しつつ計上します。
なお、仕事と無関係な費用は経費にできないため、ご注意ください。
青色申告特別控除を活用する
「青色申告特別控除の活用」も、おすすめの方法です。
青色申告特別控除は、確定申告を青色申告(複雑な計算方法で行う方法)で行う場合に使える方法です。
特にe-Taxなどネットで確定申告した場合は、年収から所得を計算するときに65万円も差し引けます。
節税効果が大きい方法として知られているため、国民健康保険料を安くする上でおすすめです。
なお、青色申告特別控除を利用するには、事前に税務署に届け出る必要があります。
国民健康保険組合に加入する
他にも「国民健康保険組合に加入する」のも1つの方法です。
国民健康保険組合とは、業種・職種や地域で結成されている健康保険組合です。
保険料は前年の所得額に応じて増減する国保と異なり、多くの組合で所得に関係なく定額になっています。
年収が一定の水準以上であれば、国民健康保険組合に加入した方が保険料を抑えられるケースがあります。
国民健康保険組合には様々な団体がありますが、フリーランスのWebライターやデザイナーなどであれば文芸美術国保組合が代表的です。
なお国民健康保険組合に加入する際には、国保の脱退手続きも必要です。
参考:国民健康保険組合とは|一般社団法人国民健康保険協会公式サイト
参考:文芸美術国民健康保険組合公式サイト
国民健康保険料を滞納するとどうなる?

国民健康保険料を滞納した場合、支払期限を過ぎて2週間から1ヶ月程度で市区町村から督促状や払込用紙が送られます。
同時に期限を超過した日数に応じて、保険料とは別に延滞金が発生します。
さらに健康保険証も、次回から有効期限の短い短期健康保険証や、資格証明書に切り替わる点は注意が必要です。
特に資格証明書は滞納期間が1年以上の場合に発行されるもので、窓口で医療費をいったん全額支払います。
もし国保の滞納が長期間続けば、財産が差し押さえられるケースもあるため、滞納は作らないようにしましょう。
国保がなぜ高いのかに関するよくある質問
国民健康保険料が高いのはおかしいのでは?
国民健康保険料を「高い」と感じるのは、前年の所得の高さや、会社の健康保険と異なり保険料を加入者が全額負担する仕組みなどが理由です。
ただ前年分の税金申告で支払った年金保険料や健康保険料、経費などの計上忘れがある場合は、国保の保険料を下げられる場合があります。
確定申告の内容の修正は、申告期限から5年間できるため、国保の保険料があまりに高すぎる場合はぜひご検討ください。

国民健康保険が高いのでやめたいのですが…?
国民健康保険の保険料が高くてやめたい場合、国民健康保険組合を含む他の健康保険に移転する必要があります。
日本は国民皆保険制度である分、原則としてどれかの健康保険への加入が義務付けられているためです。
ただし移転先の健康保険の保険料が必ずしも国民健康保険よりも安いとは限りません。
国民健康保険から移転する際には、移転先の健康保険の保険料を事前に調べておくことが大切です。
無職で国民健康保険料を安くする方法はありますか?
無職で国民健康保険料を安くしたい場合、自治体の減免制度や軽減制度を活用する方法などがあります。
特に減免制度は、前年の所得が自治体の定める水準を下回っていれば対象です。
他にも生活保護を受給している方は、国民健康保険に加入しない代わりに医療扶助を受けられるため、国民健康保険の保険料は発生しません。
まとめ

国保(国民健康保険)の保険料の高さは、住民税の高さとともによく話題になるテーマです。
そして国民健康保険料が高い理由は、前年の所得が高かったり扶養制度がなかったりする点などが挙げられます。
もし保険料の支払いが難しいときは、なるべく早くの役所への相談などの対策が重要です。
また前年の経費をもれなく計上したり、青色申告特別控除を活用したりするなどのやり方で翌年の保険料を安くできます。
国民健康保険の保険料を見て悩んでいる方は、役所への相談や安くする方法などをお試しください。
2017年からフリーランスのWebライターとして活動しています。
フリーランスとして活動するうち、税金などお金にまつわる知識の重要性に気付くように。
複数の金融系執筆案件に参画し、FP2級も持っています。
実体験をベースに税金やお金の情報を鋭意発信中。


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