住民税が高いのはなぜ?3つの理由や支払えないときの対処法などを解説!

住民税が高い理由のアイキャッチ 税金の種類

5月や6月になって住民税の金額が知らされたときに、その高さに驚かされた方もいるでしょう。

そして「なぜこんなに住民税が高いのか」と絶句する人もいるかもしれません。

実は住民税が高くなるのにはいくつかの理由があります。

その理由とともに対策も知れば、来年以降の住民税の負担も減らせます。

本記事では、住民税がなぜ高いのかについて、理由や払えないときの対処法、安くする方法などとともに徹底解説していきましょう。

住民税とは

住民税とは

私たちは生活している中で様々な税金を払いますが、その中でも身近なものの1つが住民税です。

中には住民税の金額の高さに驚かされながらも、そもそも何のための税金なのかがよくわからない方もいるのではないでしょうか。

まずは住民税がどのような存在なのかを、金額の決まり方や徴収方法とともに解説します。

地方自治体の公的サービスの財源となる税

住民税とは地方自治体、つまり市区町村や都道府県が提供する公的サービスの財源となる税金です。

地方自治体が担う公的サービスは、地域のゴミ処理や上下水道の管理、地元警察や消防の運営、公営学校による教育などと多岐にわたります。

これらのサービスを運営するには莫大な費用が必要になるため、その財源を賄う上で住民税をはじめとする地方税は重要な存在です。

なお住民税は、その地域の住民が住民票を登録している自治体に納めます。

いわば地域を支えたり住み良くしたりするためのお金と考えると良いでしょう。

住民税は「所得割」と「均等割」などで構成される

住民税は、「所得割」と「均等割」などから構成されます。

所得割とは、前年1年間(1~12月)の所得に10%をかけたものです。なおその内訳は、市区町村税6%、都道府県民税4%です。

例えば、前年の所得が200万円であれば、10%の20万円が所得割となります。

一方「均等割」は、所得割に加算される金額分です。均等割は所得に関係なくすべての住民に平等に課せられる金額で、多くの地域で5,000円となっています。

さらにこれに国の税金である森林環境税1,000円が2024年度から課せられています。

他にも地域によって条例で決められた金額が加算されることもあります。

このため、実際に支払う年間の住民税の金額は以下のとおりです。

所得割(前年の所得の10%)+均等割(5,000円が標準)+森林環境税1,000円+その他条例で定められた独自課税(自治体による)

住民税の支払い方法には「特別徴収」と「普通徴収」がある

住民税の支払い方法には、大きく「特別徴収」と「普通徴収」の2つがあります。

特別徴収とは、毎月の給料から天引きされる形で納める方法です。

会社員や公務員、アルバイト・パートのように企業・役所に雇われている方が年12回に分けて、この方法で納めます。

一方普通徴収は、ご自身で払込用紙や口座引き落としなどで支払う方法です。

フリーランスや自営業者のような企業などに雇われていない方が納める方法で、基本的に年4回に分けて支払います。

ただし会社員などでも副業収入から支払う分については、普通徴収を選ぶことが可能です。

所得税と住民税の違いは?税率・計算方法・控除の種類も徹底解説!
所得税と住民税は、両方とも私たちにとって身近な存在の税金です。働いて受け取る給料や報酬から支払うことが多いものの、2つの税金の特徴や違いがよくわからない方もいると思います。所得税と住民税の違いを、特徴や計算方法などとともに徹底解説します。

住民税が高いのはなぜ?3つの理由を解説

住民税が高い理由を表す画像

役所からの住民税額の通知などを見て、その高さに驚かされた経験のある方も多いのではないでしょうか。

実は住民税が高いのは、いくつかの理由があります。主に以下の3つを解説しましょう。

前年の所得が高かったため

住民税の金額が高い理由としてまず挙げられるのが、「前年の所得が高かった」というものです。

住民税は所得割や均等割などを合計して算出されますが、このうち所得割は住民税の中でも大きな割合を占めることが多い部分です。

そして所得割は前年の所得の10%と決まっているため、前年の年収・所得が高いほど住民税も高くなります。

仮に2年前の所得が100万円であれば前年の所得割は10万円ですが、前年の所得が200万円になった場合は所得割も20万円に増え、前年よりも多く支払う計算です。

退職後などに所得が大きく下がった場合は要注意

なお、退職後のように所得が大きく下がった場合は、なおさら住民税の金額に要注意です。

退職した後は、前年よりも収入が大きく下がるケースが多いためです。

加えて退職した年に支払う住民税額は退職前の所得に応じて計算されます。

大きく下がった収入に対して、住民税を納める負担を大きく感じるため、早めに貯金などの対策が必要です。

ちなみに退職後の場合以外にも、フリーランスであれば案件数の変動で前年より収入が減って、住民税の納税に苦しケースがある点にも注意を要します。

所得税よりも控除の種類が少ないから

また「所得税よりも控除の種類が少ない」ことも、住民税を高く感じる理由です。

控除とは、税金の計算で差し引く金額を差し、基礎控除や社会保険料控除などがあります。

住民税の控除には大きく分けて、課税所得を求める際に差し引く「所得控除」と、税額を計算した後に差し引く「税額控除」があり、この点は所得税と同じです。

ただし、所得税の控除の種類は所得控除・税額控除合計で主に38種類である一方、住民税は合計19種類のみです。

適用できる控除の数が少ない分、税金計算で減らせる部分が減るため、結果的に税額が高く感じられます。

参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁
参考:No.1200 税額控除|国税庁

控除される金額も少ないから

さらに住民税の場合、「所得税に比べて控除される金額が少ない」ことも理由です。

住民税は使える控除の種類が少ないだけでなく、それぞれの控除で差し引ける金額も所得税より少なくなっています。

例えばすべての納税者に適用される基礎控除1つ見ても、所得税であれば最高95万円(2025年分以降)であるのに対し、住民税の場合は最高でも43万円です。

参考:No.1199 基礎控除|国税庁
参考:【令和7年度税制改正】所得税・住民税の基礎控除の注意点|一般社団法人神奈川青色申告会

他にも所得税より控除額が少ない控除がある点も合わせると、所得税に比べて税金の計算で差し引かれる額が少ない分、住民税が高くなりやすい傾向です。

住民税が高くて支払えない場合の対処法

住民税の払込用紙と、財布や銀行アプリの預金額を見て「とても住民税を払えそうにない!」と不安になる方もいるのではないでしょうか。

もし住民税を払えない場合は、次のような方法で対応できます。

できるだけ早く役所に相談する

住民税を払えそうにない場合は、できるだけ早く役所の税務課に相談しましょう。

市区町村役所の税務課であれば、開庁時間中であれば住民税の支払いについて相談を受け付けています。

職員に相談すれば、支払いの猶予を受けられたり、分割払いを認めてもらえたりします。

一方で何の相談もせずに放置すると、本来納めるべき税金に加えて支払いが遅れた日数分の延滞金が加算されるため、注意が必要です。

住民税の放置は最悪の場合、給料や財産が差し押さえられることもあるため、早めに対策するべきです。

一定の条件を満たせば減免になるケースも

また住民税は一定の条件を満たすと減免になるケースがあります。

減免になるケースは以下のとおりです。

  • 会社の倒産や失業・廃業で所得が大幅に減る見込みの場合
  • 災害や病気などやむを得ない事情で住民税の支払いが難しい場合
  • 生活保護を受給している場合
  • ご自身が障害者や寡夫・寡婦、未成年者である場合

もしこれらの事情に当てはまるのであれば、なるべく早く役所に相談すると良いでしょう。

住民税を少しでも安くする方法

住民税が高くて支払えないときは、事前の対策で少しでも安くできます。

住民税を安くする方法として、主に次の方法がおすすめです。

住民税の所得控除を活用する

住民税を少しでも安くするには、まず「所得控除の活用」という方法があります。

所得控除は先程も少し触れましたが、住民税のうちの所得割を計算する際に収入から差し引く金額です。

住民税の場合、最高43万円の基礎控除のほかにも、社会保険料控除や生命保険料控除など様々な種類の所得控除があります。

これらの所得控除の合計金額が多いほど、収入から差し引く金額が多くなるため、所得割の金額を減らせます。

ふるさと納税の活用

また「ふるさと納税の活用」もおすすめです。

ふるさと納税とは、住んでいる地域以外の自治体への寄付を指します。

ふるさと納税専用サイトで好きな自治体を選び、返礼品を選んで寄付した後に確定申告すると、基本的に寄付金額から2,000円を差し引いた金額を住民税額から差し引ける方法です。

ちなみに会社員のような給与所得だけを得ている人であれば、ワンストップ特例制度を使えば確定申告なしで住民税の控除を受けられます。(最大5自治体まで)

なお、年収や家族構成などに応じて年間で寄付できる上限額が決まります。

参考:ふるさと納税の流れ|総務省

iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用

「iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用するやり方」も、住民税を安くする方法の1つです。

iDeCoは国民年金などの公的年金とは別に加入できる私的年金制度で、毎月一定額の掛金を積み立てながら運用します。

なお、積み立てたり運用したりしたお金は、原則60歳以降に年金などとして受け取れます。

参考:iDeCoの特徴|iDeCo公式サイト

iDeCoの掛金は毎月5,000円から1,000円単位で決められる上に、1年間に支払った全額が所得税や住民税の控除小規模企業共済等掛金控除の対象です。

住民税の分の場合、年間に支払った掛金に所得割の税率である10%をかけた金額が軽減されます。

小規模企業共済への加入

フリーランスや中小企業の経営者であれば、「小規模企業共済への加入」もおすすめの方法です。

小規模企業共済とは、フリーランスや小規模企業の経営者・役員向けの退職金制度です。

こちらも毎月1,000円から7万円で500円単位の掛金を設定して毎月積み立てられるとともに、1年間に支払った掛金の全額で小規模企業共済等掛金控除を受けられます。

ちなみにiDeCoとも併用できるため、フリーランスなどであればより節税効果も期待できます。

ただ掛金の負担は併用していない場合よりは大きくなる点に注意が必要です。

参考:小規模企業共済とは|中小機構

横浜市や神戸市など住民税が高い地域があるのは本当?

横浜市の画像

住民税の話で、「あの市は住民税高いらしいよ」とか「あそこは安いらしいね」といった噂を耳にしたことのある方もいるかと思います。

実は全国の自治体の中には、住民税がほんの少し高い地域もあります。

これは自治体が環境保全などの政策上の必要に応じて、通常の税率(標準税率)を超える税率を条例で決めているためです。

住民税が高くなっていることで有名な自治体が、横浜市や神戸市などです。

横浜市の場合は市独自の「横浜みどり税」が均等割に900円加算されています。

これに加えて神奈川県でも水源環境保全税が課税されるため、横浜みどり税と合わせて住民税が高くなりやすいのが特徴です。

なお、横浜みどり税は2026年度まで、水源環境保全税は2028年度までの期間限定で課税されています。

参考:個人の市民税・県民税について|横浜市

一方で神戸市でも、市民税に認知症患者とその家族を支援するための「認知症神戸モデル」400円が、兵庫県の県民税に800円の「県民緑税」が加算されているのが特徴です。

参考:住民税(市県民税)の税額の計算方法|神戸市

このように地域の事情に応じて住民税が通常より高い地域もあります。

「なぜ所得税が高いのか」についてよくある質問

住民税が高いのでなんだかおかしいのですが?

住民税が高くておかしいと感じる場合、単純に役所側の計算ミスか、確定申告の内容の誤りが考えられます。

このため住民税の金額でおかしいと思ったら、まずは役所の担当課(税務課など)に問い合わせたり、ご自身の確定申告書類で申告していない控除などがないかを確認したりするのがおすすめです。

ふるさと納税で住民税が上がったのはなぜですか?

ふるさと納税で住民税が上がるのは、年収や家族構成によって決まる控除上限額を超えて寄付している可能性があります。

ふるさと納税は控除上限額の範囲内であれば2,000円の自己負担で収まりますが、上限額を超えると自己負担額は2,000円を超える仕組みです。

その場合、自己負担額が増える分、控除の効果を感じにくくなります。

加えて確定申告やワンストップ特例制度での手続き内容でミスがあったり、副業などで得られた所得の金額が大きかったりすることも考えられます。

住民税が安い人がいるのはなぜですか?

住民税が安い人がいるのは、その人の前年1年間の所得額が少なかったり、社会保険料控除などの金額が高かったりするのが主な理由です。

住民税も所得税と同じく、前年の年収から控除額を差し引いて10%をかけて所得割を出し、そこに均等割りや森林所得税を加えて算出します。

このため、前年の所得の少なさや控除額の大きさによっては住民税が安くなるケースもあります。

ちなみにニュースなどでよく耳にする「住民税非課税世帯」は、単身世帯で年収が約110万円以下、夫婦世帯で約156万円以下の世帯のことです。

まとめ

住民税は基本的に前年の所得に税率10%をかけた後、一定の金額を加えることで税額が決まる税金です。

一方で所得税と比べて控除の種類や控除額が少ない上に、前年の所得が高いと税額が高くなります。

もし住民税が高すぎて支払えないときは、なるべく早い段階での役所への相談が大切です。

また、住民税をできるだけ安く抑えるには、所得控除やふるさと納税などの方法がおすすめです。

5月や6月頃には1年かけて支払う住民税の金額が知らされますが、事前に住民税の仕組みや節税の方法を理解しておけば、税金の負担を減らせます。

今から節税などを始めれば来年分の住民税を安くできるため、今からの対策しておきましょう。

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